オーラルフレイル予防のすすめ


ってなあに?

―予防と課題について―

あなたの毎日の
「いただきます」が
未来の健康をつくります

せいきょう歯科
所長歯科医師

中田 幸雄 先生

「オーラルフレイル」 耳にしたことがありますか

はじめに

あなたの毎日の「いただきます」が、未来の健康をつくっていることをご存じですか?
オーラルフレイル」という言葉は、高齢者の問題として紹介されることが多いかもしれません。でも実はこの“口の衰え”は、気づかぬうちに若い世代の私たちの生活習慣の中から静かに始まっています。そして、その始まりの子どもの時代に、力をつけることが大切であることに注目が集まり始めました。
忙しい毎日の中で、よく噛まずに食べたり、ひとりで黙々と食事をすることが増えたり…そんな何気ない習慣が、未来の食べる力・話す力・笑う力に大きく関わってくるのです。
この小さな“変化のサイン”に、もっと早く気づいてもらいたい。
そんな思いを込めて、子どもの健康を守る立場であるママたち、そしてこれからのライフスタイルを考えるすべての人にこそ伝えたい―
―それが、この小論文を書いた出発点です。

フレイルの出発点

お子さんに次のようなことは見られないでしょうか?

これらの特徴は、口腔周囲の筋肉や顎の発育に遅れや歪みが生じることによって引き起こされることが多いと考えられています。

小児期の発達と高齢期の健康の関係

図のように小児期における口腔機能の発達が不十分であると、高齢期においても口腔機能の維持が難しくなり、早期にオーラルフレイルを招くリスクが高まります。具体的には、幼少期に適切な口腔機能が育まれないと、将来的に噛む力や飲み込む力が不足し、これが高齢期における健康状態に悪影響を及ぼすことが示されています。
成人になると機能の向上は、ほぼ平坦になりますが、衰えの始まりを遅らせることで、高齢になってからの栄養摂取の不足や大病を患っての入院した場合にも回復する早さに違いがあるといわれています。若いうちから口の機能を維持し、健康な歯と口腔を保つことが生きる上で基本となる食と家族や友人と食べる楽しみ(QOL)を支えることにつながります。

1.オーラルフレイルについて

オーラルフレイルは、口腔機能の軽度な低下を指し、特に高齢者において重要な健康問題とされています。日本では、オーラルフレイルの有症率は約40%から66.7%とされ、特に高齢者の間で広く見られています[5][9][14]。
この状態は、歯の喪失、咀嚼や嚥下の困難、口腔内の乾燥などの症状を伴い、身体的なフレイルや栄養状態の悪化、社会的孤立と関連しています[6][8][9]。

2.オーラルフレイルの影響

オーラルフレイルは、食事の質や社会的な交流に影響を与え、結果として身体的な健康や生活の質を低下させる要因となります。
特に、食事を一人で摂ることがオーラルフレイルのリスクを高めることが示されています[1][3]。
また、オーラルフレイルは、認知機能の低下や腎機能の低下とも関連しており、全身的な健康にも影響を及ぼすことが報告されています[3][4]。

どんな人が「オーラルフレイル」?

オーラルフレイルかどうか知るために、最初に提案されたのがOF-7(オーラルフレイル7項目チェックリスト)です。この表は、口腔機能の多面的な評価を行うものでしたが、実際の運用においては複雑さが問題視されました。そこで、より簡便で実用的な評価方法としてOF-5(オーラルフレイル5項目チェックリスト)が開発されました。

OF-5は以下の5つの指標で構成されています:

このように、OF-5はよりシンプルで、非専門家でも評価が可能なため、地域の高齢者の健康管理において広く利用されています。
2024年には、オーラルフレイルの新たな定義が関連学会によって統一され、これに基づく施策が進められています。オーラルフレイルの評価は、単なる口腔の問題にとどまらず、全身の健康や生活の質に深く関わることがわかっています。今後は、地域社会におけるオーラルフレイルの意味を理解し、予防を図ることが重要な課題となるでしょう。

オーラルフレイルにならないために

オーラルフレイルに対する対策としては、
以下のような方法が提案されています

口腔ケアの強化

定期的な歯科受診や口腔内の清潔を保つことが重要です。特に、歯磨きや口腔体操を通じて口腔機能を維持・改善することが推奨されています[7][26][28]。

栄養管理

食事の質を向上させるために、バランスの取れた食事を心がけることが必要です。特に、咀嚼しやすい食材を選ぶことが重要です[5][16]。

社会的なつながりの促進

食事を共にする機会を増やすことで、社会的孤立を防ぎ、オーラルフレイルのリスクを低減することが期待されます[1][4]。

オーラルフレイルに対する対策を進める上で
どんな問題があるでしょうか?

一般の方の認知度が低く、早期発見や介入が難しいこと、特に、地域によってオーラルフレイルの認知度に差があるため、啓発活動が求められています[2][8]。
また、医療と介護の連携が不足していることも課題です。オーラルフレイルの管理には、医療と介護の連携が不可欠ですが、実際にはその連携が不十分な場合が多いです[6 ][8]。

そして、 高齢者が適切な口腔ケアを受けるためには、どこでケアを受けられるかが大きな問題ですが、アクセスが限られていることも課題です。特に、住み慣れた地域で、受診できることが重要ですが、地方では歯科医師の高齢化とともに歯科医院の廃業も進みつつありオーラルフレイルのリスクが高まることが考えられます[2][11]。

日本におけるオーラルフレイルは、高齢化社会において深刻な健康問題であり、適切な対策が求められています。口腔機能の維持・改善、栄養管理、社会的なつながりの強化が重要であり、これらを実現するためには、地域社会全体での取り組みが必要です。また、オーラルフレイルに対する認知度を高め、医療と介護の連携を強化することが、今後の課題となります。

結びにかえて

私たちはつい、「口の衰え」は年を重ねてからの話だと考えがちです。
けれども、「健康な口もとや食べる力を守ることは、一朝一夕にはできません」、日々の小さな習慣の積み重ねが、やがて「活きる力」として大きな差となって現れていきます。
今、私たちが当たり前のように行っている「噛む」「話す」「笑う」。
それらがずっと自然にできるように――自分自身はもちろん、これから育っていく子どもたちのためにも、オーラルフレイルは“いま”から考えるべき私たち自身の課題です。

さらに近年、「鼻呼吸」の重要性にも注目が集まっています。「鼻呼吸」はすべての健康の源であり、口を開けて眠ることで歯周病菌が増殖しやすくなることが明らかになっています。これは、口腔内の環境の悪化だけでなく、全身の健康リスクを高める要因ともなり得ます。だからこそ、「正しく鼻で呼吸できる」ことは、オーラルフレイル予防の要といえるでしょう。
この小さな気づきが、未来の自分を守る力につながることを願って――。

追   記

付録として家庭でできる口腔機能の発達を促し、機能を維持する体操や遊びを示します。
気軽に生活の中に取り入れてみましょう。

-出典の記録-

  1. Association of eating alone with oral frailty among community ...
  2. Relationship between risk of oral frailty and awareness of oral ...
  3. Oral frailty and systemic health including lifestyle-related ...
  4. Association between Oral Frailty and Nutritional Status Among ...
  5. オーラルフレイルの治療とケアのポイント、現状の課題
  6. Consensus statement on "Oral frailty" from the Japan ...
  7. オーラルフレイル - 日本歯科医師会
  8. Consensus statement on “Oral frailty” from the Japan ...
  9. 地域在住高齢者のオーラルフレイルの実態とその関連要因
  10. Risk factors for oral frailty among community-dwelling pre-frail ...
  11. Factors correlated to oral frailty and number of remaining teeth ...
  12. A Longitudinal Study Using the Oral Frailty Five-Item Checklist
  13. 高齢期における口腔機能の重要性 ~オーラルフレイルの観点 ...
  14. オーラルフレイルの地域差は約2倍
  15. Oral Frailty - 日本歯科医師会
  1. 栄養・口腔ケアのちょい足し:オーラルフレイル対策で ...
  2. オーラルフレイル対策 - 神奈川県ホームページ
  3. Effect of an Oral Frailty Measures Program on ... - PubMed
  4. Prevalence and unfavourable outcome of oral frailty in older ...
  5. Relationship between oral frailty and locomotive syndrome in ...
  6. Association of oral frailty with medical expenditure in older ...
  7. Oral frailty: a concept analysis | BMC Oral Health | Full Text
  8. 地域在住高齢者のオーラルフレイルの実態とその関連要因
  9. Effect of an Oral Frailty Measures Program on Community ...
  10. オーラルフレイル対策のための口腔体操 - 日本歯科医師会
  11. オーラルフレイルとは?対策・予防方法とセルフチェック
  12. オーラルフレイルの概念とフレイルとの関係 | 健康長寿ネット
  13. オーラルフレイルの概念の理解とその予防・対策方法について
  14. 「お口の健康」からはじめるフレイル予防
  15. Dental visit avoidance during the COVID‐19 pandemic is ...

[漫画で読む] オーラルフレイル予防のすすめ

導入 未来の「いただきます」を守るために

あなたの毎日の「いただきます!」が、未来の身体をつくっていることをご存じですか?子ども「んー、ごくっ!」母親「コウタ、ちゃんと噛んでる?」「オーラルフレイル」という言葉は、お年寄りのこととして紹介されることが多いかもしれません。母親「オーラルフレイル…?お年寄りの話よね?」でも実はこの“口の衰え”は、気づかぬうちに若い私たちの生活習慣の中から、静かに始まっています。そして、その始まりの子どもの時代に、力をつけることが大切であることがわかってきました。忙しい毎日の中で、よく噛まずに食べたり、一人で黙って食事をすることが増えたり…そんな何気ない習慣が、未来の食べる力・話す力・笑う力に大きく関わってくるのです。

第1章 子どもの口の“ちょっとしたサイン”とは?

この小さな“変化のサイン”に、もっと早く気づいてほしい。母親「そういえばコウタ、“口呼吸”していることも多いし…。」お子さんに次のようなことは見られないでしょうか?食事中に食べものをこぼす。噛まずに飲み込むことが多い。発音が不明瞭である。口を閉じることができず、“口呼吸”をする。舌が口から出ていることが多い。これらの特徴は、“口周りの筋肉”や“顎の発育”に遅れや歪みが生じることによって引き起こされることが多いと考えられています。

第2章 小児期の習慣が“生涯の健康”を左右する?

子どもの時における口周りの発達が不十分であると、年老いて口腔機能を保つことが難しく、“若くしてオーラルフレイルを招くリスク”が高まります。子どものときに口腔機能が育まれないと、大人になっても噛む力や飲み込む力が不足し、これが“年をとってからの健康状態に、悪い結果を及ぼすこと”が示されています。若いうちから口腔機能を保ち、“健康な歯”と“口周り”を保つことが、生きる上で基本となる食事と、家族や友人と“食べる楽しみ(QOL)”を支えることにつながります。

第3章 高齢者に多いオーラルフレイル、その実態

母親「おばあちゃん、オーラルフレイルって?そのチェック項目があるのですか?」固い食べものが噛めない。お茶や味噌汁でむせることがありますか?口の渇きが気になりますか?ニオイが気になりますか?あーあ、歯が少ないですね。舌がもつれている感じですね。これらの“口の周りの衰え”が積み重なると…オーラルフレイルになるんです。オーラルフレイルは、“身体の衰弱”“栄養状態の悪化”“社会的孤立”と関連しています。

第4章 どうすれば予防できるの?家族でできる工夫

今後は、町における“オーラルフレイルの意味”を理解し、予防を図ることが“大切な課題”となるでしょう。オーラルフレイルにならないために、まず「お口の強化」が大切です。ちゃんと歯医者さんで、チェックを受けることが大切。母親「ちゃんと歯医者さんに定期的に通おうね。」次に、「栄養管理」。“バランスの取れた食事”を心がけ、“噛みごたえのある食材”を選びましょう。そして、「社会的なつながりが必要です」。“食事を共にする機会を増やす”ことで、「社会的孤立」を防ぎ、オーラルフレイルのリスクを低くすることが期待されます。近年、「鼻呼吸」の大切さにも注目が集まっています。「鼻呼吸」はすべての健康の源であり、口を開けて眠ることで、「歯周病菌」が増えやすくなることが明らかになっています。だからこそ、「正しく鼻呼吸をする」ことは、オーラルフレイル予防の要といえるでしょう。おうちでできる「口腔機能」を強くして、それを保つ遊びがあります。いつもの暮らしの中に取り入れてみましょう。母親「さあ、コウタ!パタカラ体操するわよー!」子ども「パ!タ!カ!ラ!」お口・舌の動きをスムーズにします。お口周りやほお、舌の力をアップすることで口腔機能が高まり、唾液がよく出るようになり、舌が柔らかくなって「食べ物」を飲み込みやすくなります。

結び 子どもたちの未来を“いま”から育てよう

噛むパワーをつけましょう。ガムを噛むことにより、噛むための筋肉を鍛えることができます。私たちはつい、「口の衰え」は年をとってからの話だと考えがちです。「口腔機能の強化」は、一朝一夕にはできません。日々の小さな積み重ねが、やがて「生きる力」として大きな差となって現れます。母親「未来の「いただきます」のために、今日からできることを始めようね、コウタ!」子ども「うん!」

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